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サキュバスの塔(10)-1 邪神サキュバス - 戦闘編(非エロ)

塔の頂上に捕らわれた姫を助けに向かった勇者の一人が、
今、魔物が巣くう塔の頂きに遂に辿り付いた。

               ◆

ギイーッ。重い扉を押し開けると、静寂が辺りを包んでいた。
この塔に巣食っている邪神は、一体どこにいるのだろうか。

カツ・・カツ・・カツ・・。
静寂を破る金属製のブーツの足音が、遠くの方から回廊の壁に反響して聞こえてくる。

この足音は・・黒騎士に違いない。
しかし、黒騎士は既に倒したはず。どうしてここに・・?
邪神の魔力のなせる技だろうか。

音のする方へと向かい、壁の陰から様子を伺うと、背を向けた黒騎士の姿が見えた。
やはり黒騎士か・・・。
すると黒騎士が、くるりとこちらに振り向いた。
黒騎士も、既にこちらの動きを察知していたらしい。

やるか・・。
壁の陰から飛び出すと、剣を振りあげて、一気に黒騎士との距離を詰める。
黒騎士も、剣を構えてこちらに向かって来る。

何っ!速い?!
ガギイッ!!
剣と剣が、魔法の火花を散らして擦れ合う。
互いの魔法の剣の魔力が、干渉しあっているのだ。

ガツッ!
黒騎士の体めがけて蹴りを入れ、黒騎士との距離を取ろうとするが、
黒騎士も体を素早く捩って蹴りをかわす。

こいつ・・・早い。あの黒騎士とは別人だ!

剣先で、黒騎士の兜のバイザーを跳ね上げるように下から狙う。
ガギッ。鈍い音と共に、黒騎士の顔が露になる。

「うっ・・。」
そこに現れたのは、黒騎士ではなく、あのドラゴンの顔だった。
ニヤリと笑みを浮かべたドラゴンは、口の中を真赤に輝かせつつ、大きく息を吸い込んだ。

まずい!
ドラゴンの口の前に盾を構えて、身を固くする。

ゴォォォォォオオオオッ!!
熱風が、体の脇を通り過ぎて行く。
魔法の盾が、真赤になっているが、ドラゴンの炎でも融ける事は無い。
ただ回廊の壁や天井は真っ黒に焦げて、焦げ臭い匂いが辺りに漂っている。

ギィッ!バギッ。バキバキバキィッ!
突如、着ている漆黒の鎧を内側から破りながら、ドラゴンの体が大きく膨れ上がって行く。

『ギギャースッ!!』
耳を劈くドラゴンの鳴き声が、回廊にこだまする。
黒騎士は、ドラゴンへと変化した。

いや、これはむしろチャンスだ。
体が巨大になった分、この狭い回廊では、素早く身動きが取れないはずだ。

シュッ!シュッ!
ドラゴンは、両手と尻尾を素早く動かし牽制して、なかなか近寄らせない。
しかし、ドラゴンが再び大きく息を吸い込んだ瞬間、その牽制の手が止まった。

今だっ!!
剣を水平に構えて、渾身の力を込めてドラゴンに体当たりする。
ギィンッ!!
固く響いた音を立てて、ドラゴンの胸元に、深々と魔法の剣が突き刺さった。

『ギギャオーッ!!』
ドラゴンは、炎の咆哮を口から漏らしながら、ゆっくりと身を横たえる。
ズン・・ズズン・・。
地響きを立てて倒れ込むドラゴン。

や・・やったか!?

ドロドロドロ・・。ぐつぐつ・・。
剣が突き刺さったままのドラゴンの体が、真赤なマグマのようになって融け出しはじめる。

なんだ!?何が起こってるんだ?
こんな風に融けるドラゴンは、見た事がない。
ドラゴンの残骸は、マグマような灼熱の色を見せる。

しばらく呆然と見ていると、真赤に融けた塊が、ひとつの形を取って行く。
蟻塚のように高く盛りあがると、触手や枝を伸ばすように細い分岐が生まれた。

その真赤な塊は、突き刺した魔法の剣を手に持った人の姿へと変わった。
まだ真赤に輝く人の姿をした何かは、女の声で話だした。
『あぁ・・素晴らしい剣ね。この魔法の剣は、私が貰っておくわ。』

何!罠かっ!?

女の姿をした何かは、ゆっくりと灼熱の色の赤から、元の色を取り戻して行く。
『ふふふ・・勇者様もここまでのようね。』
完全に姿を現した女は、しっかりと鎧を着込み、奪った剣の切先をしっかりこちらに向けている。

こんな化け物と闘う事のできる武器は、もう手元にはなかった。
格闘で戦うしかないのだろうか。

それに女の顔には、見覚えがあった。
あの女神。そして、女神を姉と呼ぶ偽神。あの2人に良く似た顔をしている。
今は、もう確信していた。こいつこそが、かの邪神なのだ。

拳を固める構えると、女は目を細くした。
『うふふ。素手でこの私に勝てるのかしら?』
美しい顔の女は、怪しく微笑んで、自らも剣を構えた。

その時だった。
ズボッ!ズボッ!ズボッ!ズボッ!
女の肩の辺りから、何本もの腕が突き出す。
女の肩から生えたそれぞれの手には、やはり同じような魔法の剣が握られていた。

ベタンッ。
次いで、重々しい音と共に女の尻の辺りから太い尾が振り下ろされた。
ブゥーンッ!
女に生えている尾は、うなりをあげて、先程のドラゴンのような力強い動きを見せた。

『さあ、いらっしゃいな。坊や。』
女は、何も握ってない手を差し伸べると、まるで子どもをあやすように言った。

武器は無いのだ。
拳を固く握り、そのまま邪神の女に突っ込んで行くほか無かった。


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サキュバスの塔(10)-2 邪神サキュバス 快楽編
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